会長挨拶
平成30年 ~ 会長 櫻野 泰則
(株式会社熊谷組 代表取締役社長)
ご挨拶
わが国の経済は、永らく続いたデフレ経済を脱却し、ようやく成長回復の軌道に乗りかかるところまできたと考えられます。2020年に東京で開催されますオリンピック・パラリンピックを2年後に控え、首都圏では高度成長期に整備された都市構造や社会インフラを強化、再構築するようなプロジェクトも取り組まれてきております。
一方、地方圏においては、高齢化・人口減少による活力低下が深刻化しており、それに対する対応策が大きな課題となっています。国においては、「地方創生」を政策の柱に据え、まち・ひと・しごと創生総合戦略を策定し、各地域において「稼ぐ力」、「地域の総合力」、「民の知見」を引き出す取り組みが行われているところです。
また、老朽化する社会資本の更新という課題に対しても、公共施設等の全体を一元的に把握し、更新等を計画的に行うために、ほぼ全ての地方自治体が公共施設等総合管理計画を策定しています。
ここで、これらの取り組みについて共通するのが、官主導ではなく官民連携により民のノウハウや資金を活用すべきという考え方であり、PFI/PPPの活用・推進が益々重要となっているといえましょう。
閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針2015」(いわゆる骨太の方針)では、政府としてのPFI/PPP推進の姿勢をさらに鮮明にし、「PPP/PFIの抜本改革に向けたアクションプラン(平成30年改正版)」においては平成25年から平成34年の10年間で事業規模21兆円のPPP/PFI事業実施目標を掲げ、さらに国や人口20 万人以上の地方公共団体等だけでなく人口20万人未満の地方公共団体に対してもPPP/PFI手法導入を優先的に検討するよう促すといった表現でPFI/PPPの推進が謳われているところです。
さて、国内から海外へ目を転じると、2016年から2030年までの15年間でアジアにおいて、約23兆ドル(2,500兆円)、年額で約1.5兆ドル(165兆円)という巨額のインフラ投資が行われる見込みであり、PPPが主な資金調達、事業手法の1つとして位置づけられております。
政府の「インフラシステム輸出戦略」において、我が国産業による2020年のインフラ受注として、30兆円という目標が掲げられており、国土交通省の「インフラ海外展開行動計画2018」では、その目標を達成するために、PPP案件への対応が5つの戦略の1つになっております。
当協議会の活動は、大きく部会活動とセミナー活動の2つで構成されており、会員企業の皆様にご参加いただき、活発な活動が展開されています。
部会活動では、これまで「リスク・契約研究部会」、「廃棄物処理施設官民連携推進部会」、「水道事業官民連携推進部会」、「道路関連事業検討部会」の4つの部会が、先進的な取り組みをしている事例についての情報収集、現地視察、意見交換等を実施し、今後のPFI/PPPのあり方について議論を深め、会員間での情報共有を行いました。また、これまでの4つの部会の活動に加えて、海外インフラPPP事業など、官民連携推進のニーズの高まりに応えるべく新たなテーマの部会活動についても検討していきたいと考えています。
日本版PFI/PPP セミナーでは、各部会の検討分野を越えた包括的なテーマを設け、講演や現地視察などを実施しております。一例をあげれば、一般有料道路の管理事業の視察ではISO55000 シリーズによる維持管理手法を調査するなど、様々な分野の方が参加可能なセミナーとして、会員各社の今後の事業提案に役立つセミナーを企画しています。
ここ数年ご協力している内閣府PFI専門家派遣制度については、当協議会の会員企業からPFI専門家を派遣致しました。地方自治体がPFI/PPP事業の第一歩を踏み出す段階でのご支援として大変有意義な取り組みであると評価いただいており、今後も積極的に協力していきたいと考えています。
さらに当協議会として、広くPFI/PPPの推進についての広報・啓発活動に取り組みたいと考えており、自治体会員様への支援・情報提供活動、出版活動、政策提言活動等についてもこれまでの活動をさらに充実させていきたいと考えています。
最後に、国の強力な推進方針を受けてPFI/PPPの期待が益々高まる状況の中で、当協議会は、時流のニーズを十分に踏まえ、PFI/PPP事業の推進に貢献できる活動を展開してまいりたいと思いますので、会員の皆様のご協力とご支援を賜りますようお願い申し上げます。
PFI/PPP推進協議会 会長
(株式会社熊谷組 代表取締役社長)
櫻野 泰則 (平成30年)